now’s the time !

映画・音楽を作る・その他の話。

 レコード 本

ジャケットからそっとレコードを取り出し、丁寧にほこりを払って
ターンテーブルに乗せる。
古い単行本のページをぱらぱらとめくって、少し黴くさいにおいを
空気になじませてから読み始める。
そんなことをすると、決まって10代のころを思い出す。
あの頃は、本屋とレコード屋(そして楽器屋)で、何時間でもすごすことができた。
なにしろメインの情報源だったのだ。
そして、いつかなんとか手に入れたい本やレコードを
行くたびに手にとって、帯やなにかを何度も読んだりしていた。
1000円、2000円を捻出するのに、数週間悩んだりしなければならなかった。
今手にしている本が並んでいた本屋の本棚さえ思い出す。
そして、その風景は本屋を出て、本屋のあった地下街の風景、
階段を上り、地上に抜けたときに見えた街へと続く。
その時代に一緒に過ごした人たちさえ、うっすらと遠くの記憶の霧の中に
浮かんでくるような気がする。
僕はなにを探し、なにを積み重ね、何を得て、何を失ったのか。
この黴くさいにおいが感傷的なムードを持ち込むのか。
それとも、あまり読まなくなった小説を読んだことで、
なんとなく文学的な気分になっているのか。
まあ、こうしてなにかを書きたくなるのは悪いことじゃないだろう。
誰かに腹をたてているわけでもないし、愚痴を言いたいわけでもない。
それこそ10代のころだったら、ノートに走り書きして終わっていたようなことなんだろうけれど、
こうして、いつでも読み返せるような形にしておけるようになったのも
また移り変わりだということだ。(たくさんノートが残っているけれど、なかなか読み返すことはない。)
しかも、一応、公開もされるわけだし。
インデックスのようなものだ。そして、その重要性はぼくにとって増している。