かくして車は作られる
シリーズ?の4冊目。
クルマはかくして作られる 4 レクサスLFAの設計と生産 (別冊CG)
- 作者: 福野礼一郎
- 出版社/メーカー: カーグラフィック
- 発売日: 2013/03/06
- メディア: ムック
- 購入: 2人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
もう読み物というよりも図鑑とか百科事典とか辞書とかいうレベルである。
ぼくは、さほどボキャブラリーが多いわけでもないのでいつもの言い方をすると「圧倒的」。
4冊全部持っているわけだけれど、今回はレクサスLFAについて、部品工場から設計からなにやら
詳細にまとめている。
車に興味ない人にはまったくなんのことやらな本だし、TOYOTA車にほとんど魅かれず、
工業製品としてのメカニズムにはまったく明るくないぼくにとっても、
読んでもほぼ理解はできないであろう本。安くはない。
でも、写真を見てるだけでもわくわくするし、拾い読みするだけでも、うんざりするほどの取材量と取材力が伝わってくる。
そして、少なくとも一台の車が(しかもスーパーカー)がどれだけの知恵や技術や労力で作られているかは、誰にでも感じられるはずだ。
でも本当は普段まったく意識していないけれど、テレビだって、冷蔵庫だって、パソコンだって、みんな同じようなものだと思う。
BDプレイヤーがなぜ一万円しないで買えるようになってるのか、不思議だし、
もはや洗濯機だってコンピューター制御になっていて、なぜそう動くかなんてよくわからないで
使っている。
この本は、数万パーツにもおよぶだろう部品のすべての意味や理由や製造工程まで把握しようとしている
本なのだ。果てしない部品と行程。
ソフトウェアだって同じことであり、映画や音楽がなりたたせるすべてのパーツや行程を理解できている
人は少ない。いやいないのか?自分が作った映画や音楽だってなかなかそうはいかない。
シンガーソングライターの弾き語りとかは別だけれど、作品に複数の人間が関わり始めると、
すべてを把握することはできなくなる。
もちろんそれがわからなくても、ユーザーとしては、映画や音楽を楽しむことはできる。
ボンネットを一度もあけたことがなくても、スロットルを踏むとなにが起きるのかわからなくても
ドライブを楽しめるように。
でも、個人的には、細かいことがわからなくても、手間や時間や努力や技術やそういうものの存在を製品や作品から感じられるようでいたいと思う。
いや、感じるだけではなく、考えることが重要なのだけれど。
幸いなことに、音楽については、完成までの行程やパーツはかなりわかる。
それを簡単な文章にしてみたのだけれど、公開できる環境に恵まれなかった。
この本は、あと二晩くらいながめたら、きれいな帯のついたまま本棚にしまっておくことにしよう。
もしかしたら、次に開いてみるのは数年後なのかもしれない。
でも、ぼくにとってはそれでも持っていたい本なのである。
なにかの象徴として。自分がさぼらないために。