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レコーディングで追うビートルズのアルバム! 【第二回】

レコーディングの変遷に沿ってオリジナル・アルバムを追っていくことにする。
☆データの大部分は「ザ・ビートルズ レコーディングセッションズ完全版」(シンコー・ミュージック)を
参考にしている。

MTRのトラック数の増加につれて複雑になっていったアレンジ/構成」

『プリーズ・プリーズ・ミー』『ウィズ・ザ・ビートルズ 』は1963年の録音。ライブ・バンドとしての
ビートルズの魅力を引き出そうと考えたジョージ・マーティンのプロデュースにより、この2枚の
アルバムはほぼ一発録りに近い形でレコーディングされた。もちろん歌やハーモニーも同時にレ
コーディングされているわけで、あまり語られないことのように思えるけれど、ビートルズの演奏力/歌唱力の高
さは驚愕。これで、20歳そこそこ。ハンブルグ生活も含めそうとうライブをやっていたということ。
新たに参加したばかりのリンゴとのマッチングもばっちり。
まあ、きめのタイミングがちょっと粗かったり、歌詞間違えたりしてる曲もあるけれど、
それも愛嬌ってことで。(昔は単に下手って思ってたかもなあ)

スタジオはアビイ・ロードのスタジオ2。ビートルズのほとんどの曲は今後このス
タジオ2とスタジオ3で録音されることになる。コンソール
は10イン/2アウト仕様のEMI REDD.37、レコーダーはステレオのBTR3で、これもEMI製
だ。マイクは当時の写真を見るとNEUMANNU47、U48、KM-54あたりが確認できる。

もう少しアルバム別に詳しく追っていこう。
アルバム 『Please Please Me』。既に発売されていた2枚のシングルの
両面、計4曲を除く10曲が1963年2月11日、一日でレコーディングされた。
当時イギリスやアメリカのミュージシャンはユニオンに入っていないと仕事ができなかったため、ビートルズもユニオン規定でレコーディングしていたと思われる。演奏料の支払いについての書類にサインをしたものも残っている。
ユニオンの規定での1セッションは3時間。10時〜13時 14半時〜17時半の2セッションがブッキングされていたとのことだが、ランチタイムはリハにあて、さらにオーバータイムをして19時半から10時45分までかけて合計10曲のレコーディングが行なわれた。

セッション1
There’s A Place (take1 〜take10)
I Saw Her Standing There (take1〜take9)

セッション2
A Taste Of Honey (take1〜take5)
Do You Want To Know A Secret (take1〜take8)
A Taste Of Honey (take6〜take7)
There’s A Place (take11 〜take13)
I Saw Her Standing There (take10〜take12)
Misery (take1〜take11)

セッション3
Hold Me Tight (take1〜take13)
Anna (Go To Him) (take1〜3)
Boys (take1)
Chains (take1〜4)
Baby It’s You (take1〜3)
Twist And Shout (take1〜2)

エンジニアはノーマン・スミス
ダビングがあったのは
A Taste Of Honey  のサビをダブルトラックに (「ザ・ビートルズ レコーディングセッションズ完全版」*以下、「本」の記述は間違っていると思われる)
Do You Want To Know A Secret にハーモニーとスティックの音
There’s A Place にハーモニカ
I Saw Her Standing There  に手拍子 (「本」の翻訳が間違っていると思われる。)
この4曲


一日でここまで録音できたのは、ほんとすごいとしか言えない。
ラストのTwist And Shout でジョンの声が終わったという逸話は有名。


いやいや。何回読んだり書いたりしても飽きない内容なんだけれど、
この調子で書いていったら、オリジナルの3倍とかっていう分量じゃないな。
でも、いい機会(笑)なのでまとめていこう。