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レコーディングで追うビートルズのアルバム! 【第三回】

『Please Please Me』 の続き。
この日、ジョージ・マーティンはプロデューサとしてどういう予定だったんだろうか。
現場経験者として勝手に推測してみると。。。
スタジオの予約は2セッション分だったようだ。でも、この日でアルバム曲をすべて
録音してしまう予定だったとしたら、さすがに2セッションでは足りないのは最初から
わかっていたと思う。実際、午前中のセッションでは2曲しか録音してないし、午後の
2セッション目でも、曲数を増やしていくのではなく、午前中の曲にダビングしたりしている。
2セッション目が終わった時点で半分の5曲しか録音されていない。
3セッション目はもともと予定に盛り込まれていたのだろう。ユニオンの規定とかスタジオの規定とかで
最初から夜のセッションは組みにくかったとか?
で、休憩をはさんでのセッション3。もうレコーディングはかなり押している印象なのに、
結局アルバムには収録されない「Hold Me Tight」を13テイクも録音している。
そしてその後は急にテイク数が減っていく。スタジオ経験者ならこのムードわかるはず(笑)。
時計みながら、ある程度のところでOK出して、進めざるを得ない。もちろん最後の方に
慣れた曲をまとめたとか、どんどん後半になって調子があがっていったという要素もあるだろうし、
ライブで演奏がこなれたカバー曲ばかりなので、問題なかったというのも事実だろう。それでも前半に比べると若干やっつけなのかも。リンゴがボーカルの Boys なんて1テイクでOKだもんね。もう間違えてなければ大丈夫的な(苦笑)。そのくらいまだ慣れていないオリジナルをどうしても入れておきたいというスタンスがビートルズの成功のカギとなったのかな。
で、「本」によると、10時になって「あと一曲足りない」ということになって Twist And Shout を録音することを相談して決めたということだ。アルバム14曲入り、この日に10曲録音という予定は決まっていたとして一曲足りないというのは 13テイク録った Hold Me Tight が元々の予定曲だったんだけれどオリジナルだとしてもできが悪くて収録をやめた ということなのだろう。
で急きょTwist And Shout にした と。ビートルズがもう忙しくなっていてこの日しか時間がとれなかったのかもしれないけれど、
分量的にはせめて2日かけてもよかったのではないかとも思う。そうしたらほかの曲でももう少しダビングができたかもしれない。ボーカルダブル、クラップ、タンバリンとかやろうと思えば、いろいろできそう。そもそも事前にどのくらい綿密なダビング計画があったんだろうか。(2月20日にメンバー不在の中、MiseryとBaby It’s Youにジョージ・マーティン鍵盤楽器のダビングをしている。ジェフ・エメリックがアシスタントエンジニア)。でも余裕のあるスケジューリングにしていたらTwist And Shout は1stアルバムに入らなかったかもしれないし、少なくともいま聴ける演奏ではなかった。

そのあたりの逸話は伝記ものっぽい本には書いてあったのかなあ。なにしろ、同じ本ばかりを読んでいるので。。レコーディングの。ほかの本もちゃんと読みなおして加筆・修正ってのもライフワークかな(苦笑)

Please Please Me のミックスは2月25日。 一日でモノ・ステレオとも合わせて行っている。
エンジニア:ノーマン・スミス
既発のシングル4曲はモノミックスしかなかったのでこの日にステレオミックスも行う。
といっても、Love Me Do と P.S. I Love You はマルチが廃棄されていたので、実際には
モノマスターをちょい加工しただけ。(してないかも。)Please Please Me はシングルとは違う
テイクからステレオミックスが作られた。なぜかはわからない。ステレオミックスで使われた
テイクだとジョンは歌詞間違えてるし。ハーモニカのパートの編集は変なことになってるし。
Ask Me Why はモノミックスもやり直してるけど、それも理由はわからない。

Please Please Me はこれくらいで終了。
確認事項はいつか。いずれ。

ザ・ビートルズBOX [Analog]

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