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レコーディングで追うビートルズのアルバム! 【第五回】


アルバム With The Beatles をレコーディング中の
1963年10月17日、初めての4トラックレコーディングが行われる。
Studio2 エンジニアは ノーマン・スミス アシスタントはジェフ・エメリック
セッション1 14:30-17:30 セッション2 19:00-22:00
シングル
I Want To Hold Your Hand (take1~17)
This Boy (take1~17)
同日に クリスマスレコード用のスピーチとなぜか You Really Go A Hold On Me(take12)
も録音されている。採用になったマスターがけっこう編集したものだったので、通しでやってみたかったのか。

10月21日 10:00-13:00 studio1
mono mix
I Want To Hold Your Hand (take17)
This Boy (take15)
This Boyに関しては編集とかリミックスの記述があるけれど、詳細不明。

I Want To Hold Your Hand については初の本当の意味でのステレオミックス
制作された。I Want To Hold Your Handにはこの日のものも含めていくつかの
mixがある。

手元になぜか(笑)I Want To Hold Your Hand のtake1 とかtake9 とかの音源があるけれど
途中で演奏をやめてたりする。以前にも書いたけれどビートルズのtakeのカウントは途中までのものとかダビングしたものとかも加算していく。
例えば take1 にクラップをダビングするとtake2。2chマルチを再生しながらダビング楽器やハーモニーを演奏して別の2chマルチに録る。それがtake3。間違えてもう一度やったらtake4が出来上がることになる。
でも、I Want To Hold Your Hand は4chなので同じマルチでダビングが可能。なのでベーシックがOKなった後はtekeが増えないということになる。
ザ・ビートルズ全曲バイブル」(監修に参加させていただきました!)によると、
take17に対して、
track1: EG(J) EB DR
track2: EG (G)
track3: Vocal (J&P)
track4: Vocal(J&P)EG EB のオブリ(G&P) 手拍子
となっている。この分析が正しければ、
せーので、3chを録って、take17がOKになり、まだあまってるトラックにみんなでなんかやってみたって感じかな。
それほど4chの利点を積極的に使おうという感じでもなかったのかも。
ミックスでバランスを考えたかったのはヴォーカルとジョージのギターってことになるけど、ジョンとポールのボーカルをセパレートで録音してバランスをとるっていう発想はない(笑)。
Abbey Roadは1959年から2台の4chテープレコーダーを所有。
Telefunken T9U とM10
主にオペラのレコーディング用でPopグループが使うことはなかった。
この曲で急に4chが使われたのは、ドイツ語バージョンを録音することが決まっていたかららしい。
1964年1月24日にベーシックトラックをtape to tape でコピー。
1月29日にフランスでドイツ語のレコーディングが行われる。
フランスのEMIのスタジオの詳細はわからないが、ドイツ語バージョンを11テイク録音したこと、同時に行われた She Loves You のドイツ語バージョン、Can't Buy Me Love などを考えると2chを再生しながら歌って別の2chに録音したという感じだと思う。
だから1月24日の作業はコピーというより4chから2chにカラオケをミックスということなのだと思う。
そして、これを機にビートルズは4ch時代に突入していくのであった。