now’s the time !

映画・音楽を作る・その他の話。

 the End of Asia

先週、西麻布でまたいい感じのバーを見つけたのだけれど
そこで、坂本龍一の coda ってアルバムがかかってた。
大学生のころにそうとう聴いたレコード。
最初はカセットブックで出たんじゃないかな。avec piano っていう。
そういう音を聴くと、大学生(もう20年以上前だ。。。。!)のころの
ことを思い出す。
とにかく、なんでも知りたかったし、考えたかった。
なんだかわからないものにばかり惹かれていった。
なんとかわかろうと思ったし、そういうものやそういう考え方自体がファッションでもあった。
インターネットどころかビデオやCDもロクにない時代に、
攻略本なんてないRPGみたいに、
ひとつひとつ謎をといて、アイテムを見つけて、次のダンジョンに進むような毎日だった。
古本屋で昔の雑誌を探し、中古屋で廃盤のレコードを買い、そのライナーを見て、
次に聴くべきレコードを探し、同時に毎日のように輸入盤店に行って、札幌に数枚にか
入荷しないであろう、ヨーロッパのニューウェイブの12インチシングルを買い逃さないようにする。
ニューアカデミズムなんて言葉と西武グループに象徴される消費文化のなかで、
PARCOで洋服や本をチェックする。パルコブックセンターにはポスト構造主義の本が
平積みになり、その文脈の中で 過去のいろんな文化が解体(いや、紹介かな)され、
パフォーマンスなんて言葉が日常的になり、ナムジュンパイクなんていうビデオアーティストや
ロリーアンダーソンなんていうアーティストが、おしゃれなものとして身の回りに登場する。
バイトとバンドの練習がないときは、ひとりで名画座に通いつめ(なにしろビデオがほとんどない)リバイバルで、50年代のハリウッドミュージカルから、ロシアのサイレントから
ヌーベルバーグからフィルムノワールからアメリカンニューシネマから手当たりしだいに見る。
スターウォーズだって、ゴダールだって、新作が出ればロードショウで見る。
知らない記号が、どこにでもあり、その謎を解いていくのが楽しかった。
もちろん、今思えば、すべてうわっつらの知識や理解であったとも思うけれど、
とにかく、一生懸命だったし、楽しかったのだ。
いまやブラウザーを立ち上げれば、世界中のどんな知識にも触れることができる。
スピードはあがった。あまり足や頭を使って工夫しなくても、謎は解ける。
でも、本当のドアはなかなか開きはしない。


日曜の朝から、ビール片手にあいかわらずまぬけなことを書き続けているわけだけれども、
20歳ころの方が、もうちょっと気の効いたことを書けたのかも。



坂本龍一&ダンスリー / the End of Asia
古楽器のみで演奏される坂本龍一の音楽。
当時すごい聴いた。アナログも持っていたはず。
今聴くとちょっと物足りない気もする。
それはさすがに20年たって、少しぐらいは進んだものがあるのか。
音楽にもコンセプトにも、僕にも。
CDの値段は3800円。
codaを聴きなおしたついでにこのCDを引っぱりだしてきて何年かぶりに聴きながら
書いている。
ちょっと検索したところ、amazonでは手に入らないようだ。
廃盤。
the end of Asia に込められた意味はいろいろあるのだろうけれど、
20年前と比べて、日本は大きく変わっているようでもあり、変わってないようでもある。