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映画・音楽を作る・その他の話。

the complete BEATLES Recording Sessions

というタイトルの本がある。ぼくにとって、かなり重要な本のひとつ。
一番古いやつはもうぼろぼろになっている。書き込みもしてある。
有名な本なので知っている人も多いと思うけれど、それこそ無数にある
ビートルズ関連本の中では、読者を選ぶ本であるとは思う。
なぜなら、ビートルズが2894日間の間に、いつなにをどこで(ほとんどがアビーロード
録音したかということだけに焦点をあてた本だからだ。

Mark Lewisohnによる最初のバージョンが出版されたのは1988年。
ぼくはもう東京に住んでいて、たぶん音楽雑誌かなにかでこの本のことを知り、
すぐにお茶の水丸善に買いにいった。もしかしたらいくつかの書店を廻ったのかもしれないけれど
とにかく丸善で買ったのは覚えている。5000円前後だったような。。はっきりとは覚えていない。
まっすぐ部屋にもどり、読んだ。夢のような本だった。
ビートルズのレコーディング方法や内容に興味を持ったのは大学時代に手に入れた数枚の海賊盤LPを聴いたのが
原因。そこには制作過程を想像できる「音源」があった。でもまったく情報はなかったのだ。
というか、いまやネットも含め、そしてビートルズに限らず、いくらでも情報は手に入るのだけれど
当時は、しかも田舎に住んでいたりすると、解散してしまったバンドの情報なんて、
なにかの偶然に頼るしかない というような感じだった。
妹の彼氏の歳の離れた兄貴が、リアルタイムで聴いてた とか。ただの例えですけど(笑)。

本に話を戻す。で、LPサイズのその本には貴重な写真も多数のっており、本当に嬉しいものだったのだけれど
当然、英語でしか書いてなかった。
シンコーミュージックから翻訳が出るのは、1990年のこと。予約して買ったのを覚えている。
それ以来何度となく、ことあるごとに見返してきた。
残念だったのは、サイズがオリジナルよりそうとう小さくなり、それにより写真がかなり割愛されていたこと。

オリジナル版は数年で絶版になり、古本で数万円というような値段がつくようになった。
2004年に The Beatles Recording Sessions というタイトルでリイシュー版が出たが
それも今は絶版になり、amazonなどで 新品だと290ドルという価格がついている。

さて、日本では2009年に「ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版」ということで
リマスター発売のタイミングで新装版が発売された。本のサイズも大きくなり、
写真も増えた。
そして、2012年9月、データ、本文にかなり手を加えたという第2版が発売になった。
まだ、どこがどう変わったかは確認できてないけれど、またちゃんと読み返さなきゃ、だ。

そして、今回、記事の冒頭部分、見開き2ページで用語解説をやらせていただいた。
長年、ビートルズを聴き、そして実際のレコーディングの現場に携わってきた経験から
かなり現実にそくしたものにできたと思っている。
いや、そんなことより、とにかく、ただこの本のファンとして、光栄に思っているのだ。
まさか、自分の原稿がこの本に載るなんてことは20年前には考えもしなかった。

ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版

ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版